低温下での飛行

 寒い日々が続きますが、今回は低温下でのドローン飛行についてのお話しです。

 長時間の屋外待機などで、バッテリーの温度が低下してしまった場合、バッテリーの能力が低下して飛行時間が極端に短くなってしまいます。
 バッテリー温度が低いまま飛行させると、離陸直後はバッテリー残量インジケーターに十分な余裕があっても、みるみる飛行時間が少なくなってしまいます。
 そのため、飛行前は温かい室内、暖房の効いた車内で保温する、または断熱容器にて保管し、インスタントカイロで加熱する等の工夫が必要です。
 DJIのInspire2のバッテリーには、適正温度まで上昇させるためのヒーターが内蔵されています。

 Inspire2でのバッテリー内蔵ヒーターによる加熱の様子を御覧ください。

バッテリーの温度が低い場合、画面右上のバッテリーアイコンが【黄色】になり、バッテリーの温度が15℃以下である旨の警告表示が出ます。

バッテリー低電圧警告

バッテリーアイコンをタップして、バッテリーの詳細情報を確認します。

バッテリー詳細情報

 バッテリー電圧・残量とも十分ですが、温度が低いことがわかります。
 ドローンに使用されるリポバッテリーは、低温時では十分に能力が発揮されず、急激に電圧が低下します。
 このため、飛行前は電圧が十分でも、離陸後急激に電圧が低下していきます。

 機体を立ち上げ、送信機と接続するとバッテリーの温度が低い場合は、内蔵のヒーターにより、加熱が始まります。

バッテリー加熱状態

 ちなみに、バッテリー温度が10℃から15℃まで加熱するには、5分程度かかりました。(外気温約10℃)

バッテリーの温度が15℃まで上昇すると、加熱が停止します。

バッテリー加熱完了

 しかし、これではまだ不十分なので、機体をホバリングさせて、バッテリーの温度を20〜25℃程度まで上昇させる必要があります。(ちなみに離陸させずアイドリングだけだと、なかなかバッテリー温度が上昇しません)
 バッテリーの温度が低いまま飛行させると、急激に電圧が低下するため思った以上に飛行時間が短くなります。
 低温下での飛行は、離陸時にバッテリー温度が高くても、飛行高度によっては上空の冷たい空気がバッテリーに悪影響を及ぼす可能性があります。
 飛行中は、バッテリー残量インジケーターをチェックするとともに、随時、バッテリーアイコンをタップしてバッテリーの温度が適正かどうか、チェックしましょう。

強風下での飛行

 大阪谷町ドローンサービス スタッフです。
タイトルの強風下でのドローン飛行ですが、ドローンはその性質上、強風時には飛行が不安定になります。
 このようなときには、できれば飛行は避けるべきです。
一体、どの程度の風なら飛行できるのでしょうか。国土交通省航空局の標準飛行マニュアルによると、

5m/s以上の突風が発生するなど、無人航空機を安全に飛行させることができなくなるような不測の事態が発生した場合には即時に飛行を中止する。

出典:航空局標準マニュアル01

となっています。

強風

 風速を客観的に判断するためには、風速計が必需品となってきます。
 少しでも、風が強いと感じたら風速計で風速を計測するようにしましょう。計測時にはある程度の時間、風速を監視し続けて突風が吹かないか等のその時の風の傾向を把握するようにしましょう。
 地上で風速が5m/s超えるようなら、上空ではもっと強い風が吹いています。一般的に地上付近は、大地との摩擦で上空よりも風が弱いです。このため、地上付近が無風でも、ある一定の高度を超えるといきなり風がきつくなることも多いです。
 地上付近では、ドローンの姿勢を観察すれば、どの程度の風が吹いているのかある程度は、予想が付きます。しかし高度を上げたり、水平距離が離れたりしてドローンの姿勢が観察し辛いときはどうすればいいでしょうか。
 そんなときは、(DJI製品限定です)DJI GO4の画面左隅のフライトテレメトリの左側(画面赤丸)をチェックします。

フライトテレメトリー

この円内の薄いブルーの境界線が、機体のピッチ角とロール角になります。

 機体をホバリングさせて、ピッチ角とロール角をチェックすることで、ある程度の目安になります。風が心配なときは、離陸後ゆっくり垂直上昇させながら、時々ホバリングさせて機体の姿勢を観察しましょう。
 また、最近の機体は、フライトコントローラーの性能が優秀で、少々の風でもまったく問題なく飛行できます。しかし、風に抗うために、風上に向かって傾いて飛行することになります。このときに機体が安定しているからといって、風上に向かってスピードを出すと、さらに機体は傾くことになります。
 機体の傾きが限界を超えると、モーターが停止します。暴走を防ぐための機能です。
 モニターに表示される画像は安定していて少々の風では大丈夫に見えても、それはジンバルを通した画像です。フライトテレメトリーで実際のドローンの姿勢を確認するようにしましょう。

ビジョンシステム キャリブレーションエラー

先日、Phantom4の飛行直前にビジョンシステムキャリブレーションエラーの警告が出ましたので、早速キャリブレーションを行いました。

 ビジョンシステムとは、超音波センサーと画像データを用いて機体を安定させたり、障害物を回避させる機能です。エラーが出たままでも飛行はできますが、安全に飛行させるためには無くてはならない機能なので、さっそくキャリブレーションを行いました。

DJIアシスタント

 キャリブレーションを行うためには、ソフトウエア【DJI Assistant2】が必要です。DJIのHPの各機体のページのダウンロードページより、ダウンロードできます。
  DJIアシスタントを立ち上げ、DJIのアカウントを利用してログインしておきます。

次へ
DJIアシスタント

機体とPCをUSBケーブルで接続して機体の電源を入れ、しばらくすると接続した機体が表示されるので、クリックします。

次へ
DJIアシスタント

 チュートリアルの画面になるので、一通り確認してキャリブレーションの開始をクリックします。

次へ
DJIアシスタント

 キャリブレーション用の画面になるので、機体の正面を画面に向けます。

次へ
DJIアシスタント

 赤枠が機体の照準なので、緑枠のターゲットに合うように機体の向きを調整します。なるべくピッタリ重なるように、機体の前後方向も調整するようにします。

次へ
DJIアシスタント

 次に、水色のターゲットが現れるので、ターゲットに機体の向きを合わせます。次々にターゲットが現れるので、順番に合わせていきます。

次へ
DJIアシスタント

 指示どうりに、正面が終われば、底面を同様に行います。(機種によって異なります)

次へ
DJIアシスタント

 すべて終了すれば、キャリブレーションが始まります。

次へ
DJIアシスタント

 数分で完了します。

 DJIアシスタントは、ビジョンシステムのほかに、ファームウエアのアップデートもできるので、PCにインストールしておきましよう。また、キャリブレーションで、かなりバッテーリーを消耗するので、満充電のバッテリーでキャリブレーションを行うことをおすすめします。

モーターとプロペラの点検

 ドローンの飛行前には、入念に各部を点検しますが、特に気をつけたいのは、モーターです。

 ドローンのには、モーターが4個、6個、8個のものが多く見受けられますが、一番普及しているモータが4個のものは、1つのモータの故障が墜落に繋がります。

 このため、モーターの点検は入念に時間をかけて行います。

モーター

まずは、プロペラを外した状態で、手でゆっくりとモーター軸を回してみます。このときに妙な引っかかりや、個々のモーターによって回転の抵抗に差がないかを調べます。

  内部の軸受が劣化してくると、回転がガサツになってくるので、少しの変化も見落とさないよう、普段から正常な状態を手に覚え込ませておくことが重要です。

 次に、プロペラをはずした状態で、電源を入れてモーターを空回りさせてみます。

このときにモーターが発するヒュイーンという音に濁りがないか、個々のモーターに差異がないかを調べます。

プロペラ

 次に、プロペラの点検ですが、損傷がないか外見の劣化具合も大切ですが、ブレードのコシの具合も非常に重要です。

 ドローンは飛行中、プロペラによって支えられています。つまりプロペラにぶら下がっている状態です。

 トイドローンは別として、一般的には1Kgから数Kgをプロペラ4本で支えることになります。

 この重量が、飛行のたびにプロペラに掛かってきます。

 最近はプラスチックの品質が良くなってきているとはいえ、飛行を重ねるごとに徐々に脆くなってきます。

 このため、プロペラのブレードにコシがあるかどうかは、飛行前の重要なチェックポイントです。

モーターの点検

 モーター・プロペラの不具合は、即重大な事故につながるので、念には念を入れ納得の行くまで点検を行いましょう。

ドローンが活躍

先日の台風21号は徳島から淡路洲本を通り神戸へ抜ける最悪のコース。
私の住む南大阪は強烈な台風の進行方向右側にあたり、強風の被害がすさまじかったんです。
そこでドローンを活用して家のは損状況を調べることにしました。
もちろん安全運用で飛ばしたのですが、空からの見たら被害状況が一目でわかるのがすごい。

屋根の点家

別棟は被害がほぼ無しでしたが母屋に被害がありました。
アンテナが歪み屋根のカバーが剥がれていました。
写真を添付し工務店に報告しました。
部品の発注がスムーズに行なえ、雨漏り等の対策や指示などが的確にすばやくできるので改めてドローンの可能性を見た瞬間でした。
ただ我が家は敷地が広く、隣接する家なども距離があるので可能ですが、住宅密集地ではちょっと無理かもです。

PVメイキング ホテルのせ川様

紀伊半島中央部に位置する野迫川村は自然豊かな山村で、奈良県に属する自治体ですが和歌山県側、高野竜神スカイラインからのアクセスが一般的な所です。
ホテルのせ川様は以前鉄道旅行関係のお仕事で、お料理や館内のスチル撮影させていただいたご縁で今回動画、特にドローンを用いた撮影をしました。

営業している建物は外壁などはリニューアルで綺麗な外観となりますが屋上や屋根はお客様には見えない場所です。そのあたりを注意して空撮しました。
野迫川村の魅力、近隣の観光地をいれ、清潔感のある施設内紹介した動画になりました。

野迫川村には立里荒神社(たてりこうじんしゃ)や平維盛の里など、歴史的建造物、熊野大社へと続く熊野古道小辺路、清流の河原樋川(かわらびかわ)に温泉と魅力的なスポットを織り交ぜて動画を製作しました。

動画冒頭のホテルそばの吊り橋下を通る風景はドローンで撮影しました。
空撮の俯瞰撮影はもちろんですが、滑らかにスライドしていく画像もドローンならではの映像です。例えば外から玄関に入るような映像はクレーンやスライダーレール等の大掛かりな機材を使わなくても撮影できます。

河原樋川は熊野川水系で護摩壇山、伯母子岳の水を集め猿谷ダム下流の十津川(熊野川)に流れる川で本州最南端のイワナの生息地でもあります。
このイワナはキリクチといって天然記念物に指定されているヤマトイワナ系の亜種です。
アマゴも放流魚、天然魚も釣れます。
ちなみに映像の釣り人は製作者自演で、ちゃんと漁券を購入して入川してますよ。

野迫川村は雲海と天体観測に適した場所が多く、鶴姫公園は野迫川村西部の高野竜神スカイライン沿いにアクセスが良い場所です。360度見渡せますが特に北東側の見晴らしは最高です。PVの最後に鶴姫公園を象徴する場所でのナイトラプス画像を入れてみました。

今回の撮影で信仰の山々にかかる雲海をドローンで撮影できなかったのが唯一残念です。

渓流釣りや熊野古道小辺路散策、高野山での宿坊以外の宿泊として温泉のある宿、ホテルのせ川さんをおすすめします。
ちなみに遊漁券、宮の向キャンプ場の受付もホテルのせ川さんで出来ますよ。

操縦技能講習

大阪谷町ドローンサービス スタッフです。
無人航空機操縦技能講習を受講してきました。

ドローン技能講習

座学1日、実技1日の合計2日で、両日とも朝8時半から夜の20時ごろまで充実した内容でした。
はぼ、今まで勉強してきた内容でしたが、たいへん実践的で一部知らなかった内容もあり、思ったより突っ込んだ講習でした。

2日目の実技では、天候の具合で残念ながら室内での講習となりましたが、風の影響こそないものの、スペースが狭い(一般的な体育館を2つにネットで仕切って2組での講習でした)ので、スペースギリギリでの飛行を行うケースも多く、指定されたマーカー上を8の字に飛行する訓練では、結構なプレッシャーでした。
また、夜間飛行の訓練もあり、照明を落とした体育館内で、ドローンのLEDだけをたよりに 飛行させましたが、遠近感に乏しく昼間よりも激しく難易度が増し、とても神経を使いました。

座学・実技ともほとんどが安全に関する内容となっており、ほんものの航空機ほどではないですが、安全に関しては相当高水準なものを求められます。
特に飛行前の安全確認はをひつこいほど求められたのが印象的でした。

ほぼ、知っていた内容とはいえ、体系的に勉強でき、たいへん有益な2日間でした。

ファームアップと設定

大阪谷町ドローンサービス スタッフです。

先日、機体のファームをアップして空撮練習に行き、飛行前のチェックをしていると、なんかおかしい。

コンパスの校正
コンパスキャリブレート

いつも飛行前には、コンパスキャリブレーションを行うのですが、【機体ステータス一覧】のコンパスの校正ボタンが消えている。
IMUキャリブレーションと同様に、けっこう深い階層まで行かないとキャリブレーション出来ないようになっていました。

これは不便でしかたないので、次期ファームでの改善を願います。
またIMUキャリブレーションの方法も変更されており、機体を上下さかさまや、横倒しにして行う必要があり、少々戸惑います。
また、FPV画像転送が思わしくなく、ファームアップ前より、遅延、ノイズがひどくなったような気がします。

旋回下降

大阪谷町ドローンサービス スタッフです。
先日の機材テストより、旋回下降の動画を作製しました。

固定ピッチであるドローンは、急下降に弱く墜落の危険があります。
急下降時にボルテックスリングステートに陥り、機体が極端に不安定になり、やがては墜落に至ります。
これを防ぐには、前進しながら下降することです。
前進と後進を繰り返しながら下降してもいいのですが、螺旋を描きながら下降することで、狭い場所でも安全な下降が可能です。
実際の操作は、左スティックでラダー、エレベーターで旋回半径を調整し、右スティックのスロットルで下降速度の調整します。(モード1の場合)

スティックとジンバルの設定

大阪谷町ドローン スタッフです。

設定

ドローンのコントロールですが、空撮時には急激に動かすことはほぼありません。(スポーツ等はまた別)
上昇以外の動きは、ごく緩やかにスティックを入れる程度です。
Phantom4の場合、デフォルトではスティックの入りが急すぎるので、設定を変更しています。
上昇、下降はデフォルトのままですが、左右の回転、前後/左右は0.36にして、スティックの効きをやや甘くしてます。

設定

また、ジンバルピッチの速度をかなり遅くして、滑らかさを増やしてます。
この設定で、ジンバルのコントロールが随分楽になります。

ジンバルのチルトコントロールのダイアルは、とても小さく操作しづらいので、ピッチ速度の設定は、かなりシビアに行う必要があります。